ワキガの原因と治し方(手術による治療まで)
ワキガの原因と治し方について、手術による治療を含め、薬剤師による医学的な見地から詳しく解説します。

ワキガ(腋臭症)

病態

腋窩にはアポクリン汗腺が多くあり、分泌される汗自体は無臭です。
皮脂腺や皮膚表面由来の脂質と皮膚の常在菌が汗と混ざり合って菌が汗をエサにして食べることで、低級脂肪酸、揮発性ステロイドに作られて独特の臭いを発生します。
アポクリン汗腺の発達がさかんな思春期頃に判明することが多いといわれています。

診断

家族にわきがの方がいるかどうかの家族歴と耳垢が湿っているか、乾いているかを確認します。
耳垢の性質にはABCC11遺伝子が優性遺伝子として関わっていて、湿った耳垢の人の多くは腋臭症です。
しかし、その重症度には個人差が大きく、最終的には臭いテストで重症度を診断することが重要だと考えられています。

治療方針

日本では優性遺伝子を持っている方が少ないという事実があります。
しかし、日本人は臭いに敏感な民族性であるので、わきがの重症度が高くないにもかかわらず治療を希望する患者が多いと言われています。
適切な診断をしたうえで重症度にあった治療を選択していきます。

1)保存的治療
  • 滅菌成分・消臭成分を含む市販の商品を含めた外用剤を使用します。
  • 処方箋薬では、抗生物質の含まれている外用剤であり、市販商品としてはミョウバン、ヒドロクロロキシアルミニウムといった消臭や制汗成分を含んだものが望ましい。

  • 発汗を抑えるための治療
  • 汗が多い場合に勧められます。
    初診時には、塩化アルミニウムを含む外用薬で様子を見ますが、効果がない場合や接触皮膚炎といった継続が困難な状況になり、なおかつ重症の症状の時にはボトックスの注射で様子を見ます。

    2)外科的治療(重症度が中等度以上の時に行います。)

    アポクリン汗腺を除去することを目的として摘出手術を行います。
    外科的にアポクリン汗腺を切除する方法やレーザーによる汗腺の破壊があります。

    ワキガの治し方

    このサイトでも紹介した体臭を抑える方法と同じ方法で対策をします。
    しかしながら、わきがの重症度が高い方には推奨しません。
    なぜなら、長い期間にわたって商品を使い続けないといけないからです。
    すると皮膚への負担も大きいことや、皮膚の常在菌のバランスも崩れてしまうため辞めましょう。
    経済的にも莫大な金額を使用してしまうことになってしまいます。
    早期に病院を受診して、手術をすることを勧めます。

    実際には、わきがの治療には、わきがを発生させないための対処療法と手術による根本の解決
    の2種類の方法があります。
    これらの治療法は、わきがの症状の重症度によって使い分けられ、オーダーメイドの治療が行われます。
    わきがを発生させないための対処療法として、体を切らない治療法は、わきがの症状を出さないための予防に目を向けた方法です。
    わきがの臭いを出さないために、汗のコントロールをする方法が主な治療法となりますが、手術と異なる点は継続的な治療が必要になる点があります。
    やはり経済的な負担になることは否めません。
    医学的な方法を用いて汗をコントロールしますので、市販のわきがケアに使用するものより効果は期待できますが、手術のように根本の原因をなくすものではありません。
    対処療法的な治療が取られ続けます。

    ワキガの手術について

    わきがの手術には複数の種類があります。
    基本的に皮膚にあるアポクリン汗腺を切除してしまう手術が多いです。
    皮膚に直接メスを入れるため外科手術になります。
    現在、形成外科では行っていないところはないと言われるくらいに普及しています。
    また、皮膚科でも手術を行っているところも存在しています。
    外科手術ですが、保険が適用になる手術と、そうでない手術があるので要チェックです。

    電気凝固法

    わきがの出る脇の下に局所麻酔をし、毛根へ直接絶縁針を刺し、約5秒間、高周波を流す事により毛根と同時に臭いを発生させるアポクリン線やエクリエン線、皮脂腺を同時に熱破壊させます。
    その結果、汗腺が少なくなっているので、汗の量が減少し、わきがが少なくなります。
    メスなどを使う手術ではないので、肌への負担、精神的な負担の両方が軽減されます。
    体への負担が少ないので、子どもさんから高齢者まで対応でき、すぐに普通の生活がはじめられます。
    ですが、効果が期待できるものの、重度のわきがで悩む人の場合には完全にニオイをなくすことはできないことがあげられます。
    期間を空けて何回か治療しないといけないことも面倒かもしれません。
    完全な手術ではないという認識が重要です。
    -料金-
    1回当たり10-30万円程度かかります。
    すぐ効果が認められる治療ですが、効果に応じて数回行う必要があります。

    直視下手術法・剪除法(せんじょほう)

    ワキの下を3~5cmほど切開し、皮膚を裏返して確認できるアポクリン腺一つ一つ取り除いていく方法です。
    全てのアポクリン腺を除去できます。
    メリットとしてはわきがの原因となるアポクリン腺を除去でき、しかも保険適用で安く済ませることができるということです。
    しかし、メスを入れることになるため、傷口が落ち着くまでガーゼ固定などが必要な他、医師の技術が未熟であれば傷跡が目立ってしまうこともあります。
    おおよそ30~50万円といったところですが、保険適用になっているので費用が安く済みます。

    非直視下手術法・皮下組織吸引法

    美容クリニックで行われる脂肪吸引のように、ワキの下に1cmほどの穴を開け、そこから細い管(カニューレ)を通してアポクリン腺やエクリン腺、皮脂腺などをかき出すようにして吸い取ります。
    皮膚を裏返す必要がないので大きな傷が残ることはなく、皮脂腺なども除去できます。
    傷口が小さく、目立たないのはメリットですが、直視下手術よりもアポクリン腺が残ることがあり、全て除去できるわけではありません。
    完全な手術ではないという認識が重要です。

    超音波吸引(治療)法

    脇の下に穴を空け、超音波を発生させながらその熱でアポクリン腺などを破壊しながら吸引します。
    吸引法よりも効果が高いのがメリットですが、火傷や皮膚壊疽など数編組織への影響も大きくなります。
    20~30万円程度になります

    皮下組織削除法(シェービング法)

    皮膚に小さな穴を開け、カミソリの歯がついた2mm程度の特殊器具をいれ、すそわきがの原因組織をシェービングのように削り取っていく手術です。
    回復に時間が少しかかるデメリットがあります。
    30万円程度になります。

    レーザー治療(ビューホット・ウルセラドライ・ペアドライ)

    最近注目されている切らない治療で、0.3mm程の細い針がたくさんついたものをデリケートゾーンにあて、高周波を照射しニオイの原因であるアポクリン汗腺を破壊します。
    費用30万以上となっています。

    ボトックス注射

    ボツリヌス菌の毒をわきの下に注入することでエクリン汗腺の活動を抑制し汗の分泌を抑える治療です。
    軽度のわきが対象となっており、効果は永続的なものではありませんが、治療時間約5分のお手軽な施術です。
    5~10万円程度になります。

    皮下組織掻爬(そうは)法

    ワキの下に2センチから3センチ程度の切り込みを入れて、耳かきのような形をした「キューレット」と言う器具を使ってアポクリン腺を掻き出します。
    器具をまんべんなく動かすことで取り除くため直接見ながら行う方法と比較すると、取り残しが多いのがデメリットです。
    アポクリン腺のうち皮膚の深部にある「腺体」は取り除けますが、表面に多い「腺根」と呼ばれる根っこが残る恐れがあるので再発のリスクが高まります。
    術後の皮膚の融着も悪いので、術後のリスクが高いわきが手術の種類です。
    費用は30万程度です。

    ミラドライ(マイクロ波)

    ミラドライ(マイクロ波)も最新のわきが手術方法です。
    特徴は切開を行わないことです。
    皮膚の上からマイクロ波を当てることでエクリン線とアポクリン線の両方の汗腺を破壊することができます。
    臭いに関しては7割程度改善されると言う結果があり、傷を作らなくて済むことが大きなメリットと言えます。
    ダウンタイムは1日から2日が必要です。
    しばらくの間、ワキの冷却を行わなければいけません。
    約35万円の費用が必要です。
    ですが、効果は永久といわれていますのでこちらが一番良いと思われる手術です。

    ワキガ手術のリスクについて

    わきがの手術は外科手術なので、リスクはつきものです。
    しかし、リスクを取らなければ、つらい経験を永遠に繰り返すというのも事実です。
    美容外科は一般の病院とはちょっと趣が異なるため、インフォームドコンセプトという言葉が重要視されていないかもしれません。
    しかし、外科手術である以上、リスクや手術概要を説明し、患者の納得・同意を得ることが重要なのは間違いありません。
    具体的には、手術方法によって脇の下に切開の傷跡が残ることや肌にシミが残ること、アポクリン腺がすべて取り切れないといった可能性があるということです。

    手術で完治しないリスク

    わきがの原因となるアポクリン腺を根こそぎ除去するのですから、完治するのではないかと期待する人もいるでしょう。
    しかし、手術した人の経験では、完治したという人は少なく、術後もわきが臭がするという声も認めることができます。
    アポクリン腺などを直接目視することなしに取り除く吸引法では、どうしても取り残しが出てしまう場合があるからです。
    美容外科の宣伝などでも「必ずしも完治するものではありません」と但し書きしてある場合が多くあります。
    手術にも過度な期待はしない方が良いかもしれません。
    ですが、失敗していたら必ず無料で再手術があるということもお伝えしましたので、こちらが最善の策だと考えられます。

    再発や術後臭のリスク

    手術によってアポクリン汗腺が除去されたとしても、手術後にアポクリン汗腺が発達してしまうと、臭いが再発してしまうこともあります。
    アポクリン汗腺は成長して初めて汗を出し始めます。
    そのため、手術ですでに発達しているアポクリン汗腺を除去したとしても、新たにアポクリン汗腺が発達してしまうと、わきがが再発してしまうことがあるのです。
    また、手術後のニオイについては、再発を除いては精神的なものが多いので、心配しすぎないことが第一です。
    ここでも何度も述べていますが、その例が自臭症です。
    どうしても不安な場合は精神的に安定するような薬の投与が必要になってくるので、医師の診察のもとに正しい治療を続けることになります。
    違うところからのニオイがひどくなったというのは、今まで脇の下からひどいニオイがしていたのが少なくなり、他の部位からの体臭が気になり始めたということが多いようです。
    わきが手術はリスクについて、しっかり考えてから手術を受けるようにしましょう

    ワキガの治療まとめ

    わきがは、やっかいなニオイではあるのですが、根本的な治療はいまのところ、手術でアポクリン腺を直接取り除く方法以外にはありません。
    完全にニオイがなくなるというわけではなく、様々なリスクも背負ってのことになります。
    特にニオイがひどい人はどうしても手術に頼ることになりがちですが、手術で完治すると過度な期待を持たないことです。
    それでも周囲の人には迷惑を掛けないほどのニオイに減少しますので、あとは日頃のケアでなんとかなるレベルにはなります。
    手術を行う前には、そのほかの治療もあり、軽い症状であればこれだけでも効果があります。
    美容外科などで治療を行う際には、いきなり手術ではなく、他の方法についても相談しながら行っていきましょう。